~初めての長距離祐気取りと、火災前の貴重な首里城の姿~
那覇の玄関口からはじまる旅

4月半ば、春とはいえ、沖縄の空気はどこか夏の気配を感じさせるような、ジメジメとした湿気とともに私を迎えてくれました。
那覇空港に到着し、モノレール「ゆいレール」に乗り込むと、車内はひんやりとしていて、その涼しさが心地よかったのを覚えています。
移動中、窓の外に広がる南国らしい景色がだんだんと目に飛び込んできて、「ああ、本当に来たんだ」と少しずつ実感が湧いてきました。
当時はまだ旅慣れておらず、ひとりでの遠出は不安もありましたが、祐気取りの効果を信じて一歩踏み出したこの旅。
それはまさに、心の成長の証でもあったのです。
首里城──琉球の記憶に触れる場所

この旅の大きな目的地、「首里城」は、琉球王国の歴史を色濃く感じられる場所です。
今となっては火災前の貴重な姿を写真に残せたことが、本当にありがたく、しみじみと思い出されます。
赤く輝く正殿は力強く、それでいてどこか温かみのある佇まい。
豪華な玉座や装飾、王の冠といった展示の数々は、琉球文化の豊かさを目で見て感じさせてくれました。
展望から見下ろす那覇の街並みもまた美しく、赤瓦の屋根が点在する風景に、どこか懐かしさを感じたのも印象的です。
守礼門をくぐったときには、旅の緊張がふっとほどけ、心が静かに整うような感覚がありました。
まさに「祐気取り」にふさわしい、エネルギーに満ちた場所だったと今でも思います。
沖縄そば三昧の幸せな時間

沖縄に来たらやっぱり、まず食べたいのが「沖縄そば」。
実は私、沖縄そばが大好物で、自宅でもよく作るのですが、やはり本場の味にはかないません。
この旅では、なんと滞在中ずっと沖縄そばを食べていました(笑)。
中でも印象に残っているのが、那覇の「牧志そば」。 公設市場のすぐ近くにある、地元の人に愛されている素朴なおそば屋さんです。
当時はなんと350円という驚きの安さでいただけて、今でも390円ととても良心的。
あっさりとした出汁のスープに、もちもちとした麺。
しっかり煮込まれた三枚肉との相性も抜群でした。 観光地というよりも“日常の一角”のような雰囲気で、ほっとする時間を過ごせました。
もう一軒は、首里駅からすぐの場所にあったおそば屋さん。 こちらもとても優しい味で、観光前に立ち寄るのにぴったりのお店でしたが、残念ながら現在は閉店してしまったようです。
旅先の「そのときしか味わえない味」との出会いは、やっぱり特別ですね。
ブルーシールのアイスでちょっとひと息

首里駅から首里城へ向かう道の途中、可愛らしい小さなアイスクリーム屋さんを見つけました。
それが、沖縄ではおなじみのブルーシールのお店。
カラフルな外観が目を引くそのお店は、まるで絵本の中に出てきそうな可愛らしさで、自然と足が止まりました。
アイスのショーケースには色とりどりのフレーバーが並び、どれにしようか真剣に悩んでしまったほどです(笑)。 この日は、暑さもあってダブルを選択。
ひんやり冷たいアイスを片手に、ゆるやかな坂道を歩いて首里城へ向かう時間は、何とも言えず贅沢なものでした。
沖縄の蒸し暑さも、ブルーシールの甘さがすっと和らげてくれるようで、心まで癒されました。
首里駅から首里城までは徒歩10分ほど

首里城へは、「ゆいレール」の終点・首里駅から徒歩でアクセスできます。
道順は非常にシンプルで、迷うことなく約10分ほどで到着できました。
途中には、昔ながらの住宅街や石畳の坂道があり、 歩いているだけでも琉球の歴史や風情を感じることができます。
私が訪れたのは平日だったこともあり、観光客も少なくとても静かでした。
お土産屋さんの中には閉まっているお店も多く、観光地らしい賑わいとは少し違った、 どこか素朴で落ち着いた那覇の雰囲気を感じられたのも、この旅の魅力のひとつです。
ちょっと蒸し暑くて、4月とは思えないような空気でしたが、 その暑さもまた、「沖縄に来たんだな」と思わせてくれる大切な感覚でした。
国際通りの静けさの中で

那覇の中心部・国際通りに降り立つと、平日の朝ということもあり、通りは驚くほど静かでした。
観光地らしい華やかな看板や店舗が並ぶ一方で、シャッターが閉まっているお店も多く、少し寂しさも感じられました。
けれど、その静けさが、旅人の私にとってはちょうどよい“心の余白”となり、のんびりと街の空気を味わうことができました。
バスや車が行き交う通りを歩きながら、これから向かう首里城に思いを馳せつつ、少しずつ緊張が解けていくのを感じました。
祐気取りがくれた小さな奇跡
祐気取りを始めてから、約10年。
振り返ってみると、不思議なことに出発の日が雨だったことは一度もありません。
これは偶然というより、まるで旅に後押ししてもらっているような、そんな不思議な感覚です。
一度だけ、旅先で台風に見舞われて電車が止まってしまうというハプニングがありましたが、
そのときも最終的には驚くような“奇跡”で事なきを得たのです。
……この不思議な結末については、また別の機会に詳しく書きたいと思います。
心と向き合う、静かな祈りの旅
この沖縄への祐気取り旅行は、単なる観光ではなく、自分自身と静かに向き合う時間でした。
一人で旅することすら難しかった頃の私からすれば、たった1日とはいえ、ここまで来られたことは本当に大きな一歩です。
火災前の首里城の姿を目に焼きつけ、その空気を肌で感じたこと。
そして、大好きな沖縄そばに癒され、ちょっとした勇気を積み重ねながら歩いた那覇の街。
この旅が与えてくれたものは、目に見えないけれど、心にしっかりと刻まれています。
また次の祐気取りも、自分のペースで、穏やかに歩んでいけたら──そう願っています。
現在の首里城と再建の歩み

私が訪れたのは、まだ火災前の首里城でした。
しかしその後、2019年10月31日に発生した火災によって、正殿をはじめとする多くの建物が焼失するという大きな出来事がありました。
ニュースでその映像を見たとき、あの赤く輝く正殿が消えてしまったという現実に、言葉を失ったのを覚えています。
あのとき目に焼き付けておいて、本当によかった――そう思わずにはいられませんでした。
現在、首里城は復興に向けて少しずつ前進しています。
焼失した正殿の再建工事が本格的に始まり、2026年の完成を目指して作業が進行中です。
再建工事の様子は現地で「見える化」されており、観光客もその過程を見学することができます。
また、周囲の施設や城壁、守礼門などは健在で、今も多くの人が訪れています。
首里城は単なる観光地ではなく、沖縄の人々の心の拠り所であり、
琉球王国の歴史と文化を象徴する場所でもあります。
再建は時間のかかる作業ですが、それだけに完成したときの感動は、きっと特別なものになるでしょう。
次に訪れるときは、再びあの赤い正殿と再会できることを楽しみに──
旅の思い出は続いていきます。
訪れる側からの楽しみ方・ポイント
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建物が完成していない今だからこそ、「復興の過程」を見ることができる貴重なタイミングです。建設中の景色もひとつの“風景”として味わえます。
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工事の影響で、一部エリアが閉鎖されていたり、景観が以前と少し異なる部分もありますので、訪問時は公式サイトなどで最新情報を確認するのがおすすめです。
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火災前の写真や記憶を思い出しながら、「あの姿が再び見られるまで」を楽しみにする視点も、旅の一部として心に残る体験になるでしょう。
未来への想い
「いつかまたこの場所を訪れたい」と思えるのが、再建が進んでいる今の首里城の魅力だと思います。私自身、火災前の姿を見ておいて良かったと感じると同時に、再び完成した姿をこの目で見られる日が楽しみでもあります。
また、再建された後、城内の展示や体験に新しい価値が加わる可能性も高く、“旅のリベンジ”として訪問するのも素敵だと思います。

